マイルＣＳの前哨戦で勢いのある３歳馬も登場し、結果２着に敗れたが収穫の多いレースであった。中間の追い切り気配は上々であったが、休み明けの分やや行きっぷりは悪かった。促されながらの追走であったが、３コーナー過ぎからは余裕の手応えで大外から進出した。直線では追い出しを我慢し坂上で先頭に立つも、負担重量が３キロ軽いセリフォスの強襲に合い惜敗した。しかし57キロを背負い、結果の出ていなかった東京コースでの好走、速い時計・上りに対応したのは大きな収穫であった。特にラスト３Ｆから11.3-11.2秒の区間で大外から前の馬に並びかけた内容は素晴らしい。マイルＣＳではこの馬向きの馬場に変わる可能性が高く、マイル路線の頂点に立てる可能性は高い。

1400ｍのメイクデビュー戦でありながら、18頭のフルゲートに素質馬が揃っていた。７着までは差がなく、次走以降での好走に期待が持てるが、５着であったこの馬を取り上げたい。妹のリメイクをはじめダートで結果を残す姉兄の系統だが、小柄の牝馬で芝でのデビューとなった。スタートで後手を踏み後方を追走していたが、内回りの４コーナーでかなりの大外を回り、大敗も仕方ない荒い騎乗であったが、直線は素晴らしい末脚で差のない５着まで追い上げ、上り34.0秒は次位に0.7秒差を付けた。しかも内回りの大外を回ってのもので素晴らしいキレを見せている。ゴール前の伸び脚は目立っており、勿体ない競馬だったとしか言えない内容である。馬体を維持しマイルまでの距離ならば勝利は近いはずだ。

前走のメイクデビューでは２番人気に推されながら10着に敗れていたが、２戦目で大きな変わり身を見せ３着に好走した。好スタートを決め内々の馬混みで脚を溜めていた。外から被された時にやや折り合いを欠くシーンはあったが、直線までは動かない戦法を取った。直線では内から仕掛け、勢いがついた所で進路がなくなり、後方の馬が次々と前に上り進路を失ってしまった。外に出した時点で先団とは大きな差が付いてしまい、残り250ｍから一気に追い上げたものの前２頭との差が広がり過ぎていて３着までであった。しかしラストの脚は目立っていて脚力は勝ち馬と遜色ないものがある。初戦は幼さが目立ち、何も出来ずに終わったが、１カ月で馬体重も14キロ増加し成長を見せ、精神的にも今回の経験で得たものは大きいはずだ。次走は確勝級の評価をしたい。

前走で未勝利を脱出し、キャリア３戦目で迎えた１勝クラスも力の違いを見せ付け圧勝した。６月デビューと未勝利戦からのスタートとなったが、経験馬相手での走りを評価し次回狙える馬として取り上げた経緯がある。２戦目で７馬身差の圧勝を決め、２カ月の休みを経て出走した今回も素晴らしい走りを披露した。スタートはあまり良くなかったが、馬なりで３番手まで上昇し終始楽な手応えで直線を迎える。逃げた馬とは４馬身程の差はあったが、残り200ｍで気合を付けられ捕えると独走態勢となった。後続に８馬身の差を付け、ラスト２Ｆは12.4-12.0秒のラップでゴールした。まだまだ余裕も感じられ１勝クラスでは相手にならない印象であった。芝スタート部分での行きっぷりも良く、芝での走りも期待できる。キズナ産駒で距離が延びても問題なく、まだまだ上を目指せる逸材だ。

前走の神戸新聞杯を快勝し、春から成長した走りを見せ、不安視された長距離戦で外枠と厳しい条件ながら３着に好走した。１・２着馬が強く半馬身及ばなかったが、上位２頭は持続力戦でスタミナを十分に発揮してのもので、適正外と思われる条件での３着は高く評価したい。兄に長距離で活躍しているアイアンバローズがいるが、父がオルフェーヴルからディープインパクトに変わり、過去走でもスローペースのキレ勝負で好走してきた。春２冠はペースが合わず上位争いは出来なかったが、今回のパフォーマンスは限られていた好走条件を覆すものであったと言える。精神面での成長が大きく、高いポテンシャルを発揮できるようになっているのは確かである。今後はペースに関係なく崩れることはないだろう。レベルの高い世代であるが、トップグループに追い付いたと判断したい。適正条件と思われる中距離ＧⅠ戦での活躍に期待する。

３月に３勝クラスを卒業し、オープンでは通用していなかったが、前走で初ダートを経験した効果もあり一変した走りを見せた。過去走は1800ｍでの実績しかなく、2000ｍでは着外が続いていた。2200ｍは長いと思われたが、スタートから終始余裕の手応えで馬群の真ん中に入り、直線では進路を探しながら残り200ｍで一気に突き抜けた。ペースが緩くレース上り３Ｆが11.5-11.5-11.8秒とやや重馬場にしては速かったが、馬場が悪化しているやや内目から抜け出した。２～４着馬は後方から外を差し伸びたもので、大きな着差ではないが完勝と言える内容であった。ダートを走った事で走りのバランスが良くなり、追い切りでもキレを感じさせていた。今後は牝馬重賞路線でも見劣る事はないだろう。人気薄での一発は十分に期待できる。