８頭立ての少頭数ではあったが、今年のダービー馬輩出など中距離重賞として重要度が一層高まったレースに好素材が揃っていた。４番人気３着と賞金加算には失敗したが、今後に期待できる走りを見せていた。前走中京2000ｍのデビュー戦は内々に控える競馬から直線最内からキレを存分に発揮して早めに抜け出し、ゴール前で迫った差し馬勢を再度突き放す好内容を見せていた。ラスト11.1-11.1秒と高速ラップを続けての勝利で重賞でも楽しみな存在となった。今回は３カ月ぶり実戦で小柄な馬体を14キロ増やし、中間の追い切りも馬なり主体ながら本数を重ねて成長を感じさせていた。好スタートを切るもキレを活かすために折り合い重視の追走で後方待機策を取る。中盤が緩んだ事で口を割りながら行きたがる追走となり、３コーナーでは外から追い上げた勝ち馬に被されて仕掛けが遅れ、直線も外に壁ができて仕方なく馬群に突っ込む。ラストは外から伸びた２頭に先着を許したが、残り100ｍでは突き抜けそうな勢いを感じさせていた。道中の折り合いが不十分だった事と外伸び馬場での進路不利で３着に敗れたが、重賞でも十分通用するパフォーマンスであった。サートゥルナーリア産駒＋小柄な馬体は一瞬のキレを活かすタイプであり、開催が進んだ馬場もやや不利となった印象であった。ラスト３Ｆが11.6-11.5-11.4秒と速い加速ラップで決着しており、レベル的にも高い一戦であったと言える。１・２着馬は今後の重賞でも人気に推されるが、舞台が替われば逆転が十分にありそうだ。

８番人気の低評価ではあったが、海外遠征帰りでレース間隔も短いなか強敵相手に価値ある２着で今後に期待の膨らむ走りを披露した。凱旋門賞馬ソットサスの弟としてデビューから注目されていたが、やや決め手を欠く印象で好勝負はするも２勝止まりと本格化は先という印象であった。今回は凱旋門賞挑戦のため海外で２戦を消化し、勝利には至らなかったが厩舎サイドは大きな収穫を得たとコメントしている。その証拠に遠征前は気性面の不安を馬具装着で補っていたが、今回は中間の追い切りからノーマル仕様でメンタル面での成長は確かであった。レースでは好スタートから先手を奪う積極策を取り、向こう正面ではドゥレッツァの仕掛けにも動じづ、先に行かせて最内をスムーズに追走する。直線に向き前と外に壁ができ仕掛けが遅れ、外からドウデュースに一気に先頭に立たれたが、前が空くとグイグイと伸びてゴール前ではドウデュースに迫る脚を見せた。道中内々で立ち回れたメンタメ面の強化と、速い上りに対応するキレを披露してのクビ差は大きな評価を与えられるパフォーマンスであった。兄同様に晩成タイプでまだ多少幼さが残っており本格化は来年以降になりそうだが、世代を代表する馬として今後に大きな期待を感じさせる一戦となった。上級重賞に出走するための賞金加算に成功したのは大きく、スターホース候補として今後の動向に注目していきたい。

10人気の低評価ながら復活を感じさせる走りで３着に好走した。デビューからキャリア６戦で４勝をマークしオープンに昇格していた素質馬であった。オープンに上がっても春雷Ｓで１分６秒８の好タイムを記録するなど、1200ｍ重賞で２勝を上げて短距離路線の新星として注目されたが、ＧⅠでは結果出ず前々走の高松宮記念８着後に繋靭帯炎を発症し１年半の休養を余儀なくされた。長期休養明けの前走・スプリンターズＳはブランクの影響で大敗に終わったが、２戦目の今回で復活を感じさせる３着に好走している。２番枠からのスタートで馬に負担を掛けないゆったりした追走であったが、最内で揉まれながらやや行きたがる厳しい道中となっていた。しかし直線に向いた所でも手応えは余裕十分で、馬群を縫って追い上げを開始する。先行していた１・２着馬には届かなかったが、熾烈な３着争いを制して高配当を演出した。以前は外目をスムーズに追走して圧巻の走りを披露する印象であったが、馬群に包まれ通しでも脚を使えたのは今後に繋がりそうだ。以前から好内容と凡走を繰り返すタイプで安定した走りを継続できないタイプであるが、長期休養明け２戦目で繋靭帯炎を克服する好内容は今後に期待したい復活走となった。上位人気での一戦では信頼感に欠けるが、強敵相手の人気薄時に一発の魅力を感じる。年明け８歳を迎えるが近２年で４走しかしておらず、脚元さえ無事ならまだ活躍に期待できそうだ。