■４番人気・３着■　牝馬限定の1400ｍ内回りメイクデビューに、評判馬は不在も17頭の多頭数で大混戦の一戦。展開とコース取りの差で３着に敗れたが、次走以降に期待の持てるパフォーマンスを示した。ゲートに課題は残るものの追い切りの動きは素晴らしく、栗東ウッドコースでラスト11.8-11.0秒をマークするなどキレのある動きが目立っていた。レースでは一完歩目は遅かったが軽く促して中団を確保し、馬群に包まれてやや位置を下げる形となったが無難な追走力を見せる。中盤が緩む流れでラスト12.0-11.6-11.7秒と先行有利となり、４コーナーで包まれてスパートのタイミングが遅れ外に出すのにも時間を要するロスがあったが、直線に向いて大外に持ち出されると先団にグイグイ迫り残り200ｍからは他馬とは異なる脚色を見せていた。直線に向き３番手から抜け出した勝ち馬と逃げていた２着馬には及ばなかったが、中団から唯一脚を伸ばして２着馬とはアタマ差まで迫る好パフォーマンスを発揮した。ダノンレジェンド産駒の兄・リジルはダート短距離のオープン馬であるが、父が芝のスプリントＧⅠ馬ダノンスマッシュに替わり、スピードとキレを兼ね備えていると感じさせる初陣であった。追い切りの動きや480キロの雄大な馬格からもダート・芝兼用で活躍が見込めそうだ。1200ｍ～1600ｍの距離ならば芝・ダート問わず次走での勝ち上がりに期待できる。

■４番人気・１着■　ＧⅠ馬ダノンスマッシュの全妹が混戦を制し２勝目を飾った。デビューから注目を集めながらも６戦して２着３回と勝ち切れず未勝利戦で期待を裏切ってきたが、今春1200ｍ参戦２戦目で漸く初勝利を飾る。その後も1200ｍ戦を使われていたが、逃げて末脚が鈍り少差ながら２勝目を上げるに至っていなかった。今回は確固たる逃げ馬が存在し、陣営も勝ち星のある控える競馬を目論み鞍上に横山和騎手を配してきた。好スタートも中団後方に控え折り合いも十分に付き、道中はスムーズに追走し残り600ｍから軽く促されると加速が付き、馬なりのまま大外を上昇する。直線入口では大外を回りながら先団に接近し、直線一気の末脚で突き抜ける好パフォーマンスで２勝目を飾った。ラスト11.8-11.7-11.8秒と大きな失速ラップがないなかでの差し切りは評価できるものである。鞍上の横山和騎手は１勝クラスのレースながらゴール後にガッツポーズを見せ、戦法の変更を含めた陣営の期待に応える好騎乗となった。素質馬が差す競馬を身に付けたことで、クラスの上がる次走以降も好走に期待できそうだ。６歳でＧⅠ初制覇を果たした兄同様に成長力も確かな一族であり、今後の動向に注目していきたい。

■10番人気・３着■　重賞ウイナーが揃う強豪相手の牡馬混合重賞で、５歳牝馬ながらフィリーズＲ以来となる重賞３着となり波乱を演出した。マイル重賞の覇者が秋に向けた始動戦となり、別定重量戦も加味され実績馬が上位人気を構成した。リステッドでは馬券内の好走歴も牝馬限定戦の重賞では一歩足らずの戦績で、今回は相手強化に加え連対歴のないマイル戦で大きく人気を落していた。今春の連戦からコンディションが整わず今回は４カ月ぶりの実戦であったが＋16キロと減っていた馬体を戻し、中間は坂路一本の調整も好時計をマークして穴馬候補として注目していた。好スタートを切るも馬群に包まれ位置を下げながらも先行集団直後の最内ピッタリを追走する。淡々と流れるペースで大きな動きもなく、楽に先手を奪った２着馬が後続を引き離して直線に向き、ラスト３Ｆから11.1-11.1秒と速くなり、２番手から逃げ馬をゴール前で捕えたマピュースが勝利を飾り、逃げ粘ったシンフォーエバーが２着に残る展開で、外から強襲を狙った上位人気馬は不発に終わる行った行ったの決着となる。前に大きな壁がありながら直線に向いたジューンオレンジだが、残り200ｍからは勝ち馬の直後から進路を確保して脚を伸ばし、実績馬の強襲を退けて３着入線。内を通った有利さはあったが上り33.3秒は最速タイで、牡馬相手に馬群を捌いた勝負根性も十分に評価できる内容である。兄は障害重賞５勝のジューンベロシティ、弟は古馬になって苦戦続きではあるが京都新聞杯勝のあるジューンテイクで重賞戦線でも見劣らない良血馬である。コースを問わず距離も1200～1800ｍで好走歴があり守備範囲の広さも魅力となる。今後も重賞路線で活躍が見込めそうで、今回の激走をフロック視せずに狙ってみたい馬である。