３歳未勝利戦の最終週に、期待の素質馬が漸く勝利した。ノーザンファーム生産のディープインパクト産駒でデビューからルメール騎手が３戦続けて手綱を取る期待馬であったが、微差で勝利を逃すレースを繰り返していた。使い込めない弱さがあり、今回も３カ月ぶりの実戦となったが、後方から素晴らしい脚を繰り出し、大混戦の生き残り戦を制した。まだ強く負荷をかけられない中間の調整過程ではあるが、馬体重も＋10キロと充実期の入った印象で、体質の弱さが解消されれば今後に大きな期待が持てる馬である。古馬混合の１勝クラスでは素質断然で、条件クラスを駆け上がる準備は整った。

格上げ初戦のレースであったが、今回も高いパフォーマンスで３着に健闘した。前走の未勝利戦は初芝であったが、ハイラップを先行し上り３位にまとめて勝利している。今回はやや煽り気味のスタートで後方からのレースとなったが、３コーナーから馬場の悪い最内を手応え良く進出し、直線の猛烈な叩き合いで微差の３着に敗れてしまったが、ラップが上がった３コーナー過ぎで上昇していったスピードは見所十分であった。ダイワメジャー産駒らしく、速い上がりにやや不安は残るが、短距離路線であれば馬場・展開を問わず、坂のあるコースでも問題なく上位争いが出来る存在である。

クラシックの登竜門レースはドゥーラの強さが目立ったが、この馬の潜在能力の高さを改めて感じさせるものだった。初戦は東京コースで余裕十分に完勝したが、今回は休み明けで右回りや小回りコースと課題の多いレースであった。不器用な面があり、追い切りでも小回りのコーナーをスムーズに走れずにいて、仕上がりに関してもまだ途上という雰囲気であったが、素質たけで３着に食い込んだと言って良い。４コーナーでかなり外を回りながら、上り最速タイをマークした脚力は高い将来性を感じ取れるものであった。レース後に骨折が判明し、半年以上の休養を余儀なくされそうだが、まだ伸びしろが大きく、古馬になってからも活躍に期待が持てる。成長した姿でターフに戻ってくる事を待ちたい馬である。

購買価格１億円超えの期待馬が初陣を飾った。スタートで後手を踏み、揉まれ込んで後方２番手からのレースとなり、気を遣いながら前進気鋭を欠く道中であった。しかし４コーナー手前からスイッチが入り、直線入口では持ったままの手応えで先団に急接近する。11.3-10.8秒のラップを、追い出しを我慢しながら差を詰める加速力には素晴らしいものがある。ラストは３頭の叩き合いからクビ差の勝利であったが、高いポテンシャルを十分に示した内容であった。新潟コースでの上り勝負で勝利したが、追い切りでも一瞬の加速力に優れた面を見せており、直線の短いコースでパフォーマンスを上げる事も可能だ。重賞路線でも活躍に期待が持てる逸材と言って良い。

ハンデ53キロと軽量ではあったが、過去走とは違う面を見せ15番人気ながら６着に善戦した。過去４勝は上りがかかる馬場や展開でのもので、速い上がりの対応力では劣るイメージがあり、平坦の新潟コースは不向きと思われた。スタートから追走に苦労していて、直線入口でも馬群に入り惨敗の雰囲気であったが、上り33.5秒を繰り出し差のないレースに持ち込んだ。中京コースの2200ｍ戦でレコード勝ちをしているが、その時の上り３Ｆも35.2秒でハイラップの消耗戦に強い馬で、過去に速い上がりでは勝負にならない結果が続いていた。取消後の一戦であった点と、不向きな馬場や展開にも関わらず善戦したパフォーマンスは高評価して良いだろう。今後この馬向きの舞台に変われば、激走があって不思議ではない。

新種牡馬グレーターロンドン産駒から、スター誕生を思わせる馬が出現した。レース前に蹄鉄の打ち直しがあり、落ち着きがないまま１番枠から大きく立ち遅れる。向こう正面では先頭から15馬身程離れた最後方をポツンと追走し、勝負にならない様相であったが、３コーナー過ぎから手応え抜群に進出を開始し、勢いのついた直線では狭くなるシーンもありながら、直線一気の決め脚で重賞制覇を遂げて見せた。ラスト３Ｆのレースラップが11.7-11.6-11.6秒で、1200ｍ特有の超前傾ラップではない中での後方一気は、モノが違ったと言える印象である。素晴らしいポテンシャルを持っているのは間違いなく、血統や走りからもマイルでさらに良さが出る可能性もある。多くの不利を克服しての快勝劇は、暮れのＧⅠに向けて大きな経験となっただろう。また兄弟馬に活躍馬が出ていない事から、今後グレーターロンドン産駒には注目していきたい。