８頭立ての少頭数で未勝利馬が３頭参戦とレベル的には微妙も、重賞級のポテンシャルを見せて圧勝した。デビュー戦は成長途上で６着に敗れたが、２戦目となった次走の新潟コースで前が壁になりながら差し切る高パフォーマンスを見せていた。今回は初の右回りであったがスタートから余力十分に３番手を進み、４コーナーでは持ったままで他馬とは違う手応えで直線に向くと、反応良く一気に突き抜け後続に５馬身差を付けるレコード勝ちとなった。まだ折り合い面に課題は残るが、ラスト800ｍを11.7-11.3-11.6-11.3秒でゴール前は抑える余裕も見せていた。坂を登ってから加速ラップでフィニッシュしている点は速い脚を長く使える特性で、相手強化でペースが速くなればこの馬の武器を最大限に発揮できるだろう。新潟マイルと中山マイルを連勝と舞台を問わず走れることも大きな魅力で、重賞でも好勝負可能な馬として評価したい。

今年からＧⅡに昇格し、秋華賞トライアルとして注目度の高くなった一戦で、勝利したモリアーナの素晴らしいキレと、唯一先行勢で残る強い内容を見せたヒップホップソウルも今後に期待できる馬であるが、３着のシランケドに注目したい。昨年10月のデビュー戦で大敗を喫し、その後は脚部不安で８カ月の休養を余儀なくされた。戦績から中京での復帰戦は12番人気の低評価であったが、最後方から直線一気の脚で差し切って見せた。続く古馬混合１勝クラスでも小倉の短い直線で豪脚を発揮し、上り最速で３着となっていた。今回は初の関東遠征で相手強化の距離延長戦と課題が多く９番人気の低評価であったが、外々を回りながら直線で良く差を詰めて３着となり、秋華賞の出走権を手にした。さすがにまだＧⅠでは厳しそうだが、僅か３戦のキャリアでの走りであった事を加味すると今後が非常に楽しみな馬である。連戦で中間も軽い追い切りしか出来ず、状態維持が精一杯の状態で中京・小倉・中山と異なる舞台で好走を続けるポテンシャルに今後も注目していきたい。

以前はスタートが遅く後方から外を回っての嵌り待ちといった印象のレース振りで、安定感に欠ける走りを続けていたが、今回は最内で脚を溜めるレースで速い時計＋高速上りに対応しての４着と一味違う走りを見せた。ラスト11.8-11.6秒と加速ラップでフィニッシュしており、直線早めに抜け出した１・２着馬や直線に入りスムーズに外に出せた３着馬に有利に働いたが、４着のこの馬は後方最内で動くことが出来ず、直線も馬群を捌きながら0.2秒差まで迫った末脚は光っていた。終始馬群に入りながら好走したのはアテにならない気性が改善しつつあると感じられる。近３走の重賞で３着以内の結果は残せていないが、上り上位を連続してマークしており、差しが届く馬場やラストラップが落ちる展開となれば突き抜けられる脚を持っているのは確かである。馬群を気にしなくなった事はスタート次第で１列前でのレース運びも可能で、今後の重賞戦線で波乱を演出する穴馬として注目していきたい。

1200ｍ戦で結果が出ておらず、海外遠征帰り初戦＋目標は次走と不安の大きいＧⅠ前哨戦であったが、高パフォーマンスを見せての２着と本番が楽しみになる戦いであった。以前は逃げ・先行で好結果を残してきたが、初騎乗となった横山典騎手はスタートから位置を取りに行かず後方待機策に出た。終始内々で脚を溜め直線に向いても馬群に突っ込み差を詰め、残り200ｍでやや前が壁になると大外に持ち出した。残り100ｍで手前を替えると一気の伸び脚を見せ勝ち馬を１馬身差まで猛追している。馬場や過去走からすると先行押し切りの戦法をイメージしていたが、無理して先行策を取らなかった事が新たな一面を発見できた結果となった。次走に予定されているスプリンターズＳは先行押し切りが難しい舞台で、強力逃げ馬が複数参戦する事で、差し有利な流れになりそうである。アグリは本番に向けて脚質自在という大きな収穫を得て、前哨戦としては申し分ないパフォーマンスであったと感じる。関東遠征も経験済で極端なパワー優先馬場にならなければ上位争いは確実である。