８番人気の低評価であったが、ロスを克服して３着に好走した。ダートのメイクデビューで注目度は低く評判馬の出走もなかったが、新馬らしからぬ走りを見せポテンシャルは高そうだ。スタート後手で後方からの競馬を強いられ、手応え良く回ってきていたが４コーナーでゴチャつき馬群の中で頭を振るシーンがあり、スムーズさを欠いていた。直線は馬群の中で砂を被りながら差を詰めはじめ、残り200ｍからは鋭い脚で突き抜ける雰囲気であったが、前の馬が壁になり外に持ち出す不利が痛かった。しかし再加速したゴール前の脚は目立っており、不利がなければと思わせる惜敗であった。単騎で逃げた勝ち馬が残り３Ｆを13.0-12.7-12.9秒と直線で加速するなかで、後方から不利がありながら上り最速で追い上げたレース内容は評価できるものである。メンバーレベルは疑問で次走は相手関係次第ではあるが、芝や距離延長にも対応できそうで舞台を問わず狙って見たい馬である。

強豪が揃っていた上級重賞で７番人気の評価であったが、好パフォーマンスで大接戦の４着に善戦した。長期休養明け＋重馬場の六甲Ｓは大敗したが、良馬場条件なら中山記念や鳴尾記念で３着の実績があり、近走は崩れずに好走を続けていた。この馬の弱点は瞬時の反応にあり、一瞬の速さで劣りながらゴールまでしぶとく伸びて上位争いをするタイプである。今回は加速力に優れた強豪が相手で、弱点を露呈する可能性が高いと思われていたが、直線は大外から鋭い脚を発揮し、馬群を捌くのに苦労し脚を余したソングライン、シュネルマイスターではあったが上り最速をマークする素晴らしい走りを見せた。ラストは実績馬２頭にキレ負けしたが、このメンバー相手に接戦を演じたパフォーマンスは評価したい。１年以上の休養から５戦を消化し、以前の力を取り戻している印象である。３歳時はエフフォーリアやタイトルホルダー相手の皐月賞で３番人気に推され４着した実績を持っており、本領発揮となれば初重賞制覇の期待は大きい。

重賞でも活躍する強力３歳馬２頭の参戦もあり、リステッド競争とは思えない顔ぶれであったが、60キロの斤量を背負いながら高配当を演出する２着に好走した。以前にも次回狙える馬として取り上げていた馬であるが、前走阪神コースのリステッド競争を勝利し、東上しての参戦となっていた。好走しても人気になりにくいタイプなのか今回も12番人気の低評価であったが、実績のない東京コースや柴田善騎手への乗り替わりに加え、やはり強力３歳勢との大きな斤量差が低評価の要因となっていた。相変わらず道中は折り合いに苦労する走りであったが、12.1-11.5-11.8秒の高速上りでも差し脚を発揮し、ペリエールに先着した姿は素晴らしいの一言である。456キロとダート馬としては大型馬と言えない馬体での60キロ克服は驚きであった。長距離輸送も克服し関東圏のレースで初の好走をした点でも非常に価値のある一戦となった。６歳ながら今後の重賞挑戦でも注目したい１頭である。

１番人気に推されながら３着と結果は付いてこなかったが、先着を許した２頭との比較でかなり厳しいレースをしていたと言える。中長距離路線での過去実績は申し分なく今後のＧⅠへ向けた始動戦となっていたが、57キロの斤量は有利で調整過程も狂いがなく１番人気に推されていた。前半からペースが上がらず、後半1000ｍ勝負となり内々で脚を溜めていた１・２着馬に有利な流れとなったが、ディープボンドは相変わらずスピード不足の印象で、後方から外々を促しながら追い上げる最悪のパターンとなってしまった。11.6-11.7秒と３コーナーからピッチが上がるなか、推して推して追い上げを図ったが、なかなか差が詰まらずかなり脚を使っていた。着外もあり得る厳しい戦いとなったが、直線は徐々に差を詰めて熾烈な３着争いを制している。大外を回りながら上り最速をマークし、今までにない差し脚を披露している。相変わらずトップスピードの限界があり、勝ち味に遅い面は残るが、まだまだ健在ぶりを示した今回は上々の走りであったと言える。今年の大目標となる有馬記念は弱点を補える適正舞台と言え、天皇賞(秋)やジャパンカップを大目標とするトップホースの参戦がなければ悲願のＧⅠ制覇のチャンスがありそうだ。