■１１番人気・３着■　１番人気に推されたアルトラムスが鋭い決め手で後続を３馬身離す快勝で初陣を飾ったが、低評価ながら３着に好走した馬を次回狙える馬として取り上げたい。陣営の評価は「雰囲気は悪くないがまだ気が入っておらず手先にも重たさが残っている」し慎重なコメント。追い切りでも強い負荷を掛けておらず上々のキレは見せていたが全体時計は平凡と11番人気の評価も妥当なものと言えた。レースでは互角のスタートも二の脚が付かず後方からの序盤となる。馬群の最後方に取り付き徐々に上昇しながら馬群の真ん中に突っ込んで、揉まれながらも十分な追走力を見せていた。３コーナーの下りからペースが上がり、内回りコースを意識してか先団が団子状態に密集した。直線に向き勝ち馬が外のスペースに入って追い出されると、真後ろに続きながらやや遅れてスパートを開始する。先に仕掛けられたぶん勝ち馬に一気に突き放されてしまったが、残り200ｍでエンジンがかかると勝ち馬を追い掛け、展開有利に運び先に抜け出した先行勢に迫ってゴール。際どい勝負ながら２着馬にクビ差まで迫り３着を確保している。ゴール板付近の脚色は勝ち馬を上回っていた印象で、後方待機組では唯一脚を伸ばす快走であった。ラスト12.2-11.7-11.4秒で快勝した勝ち馬は当然評価できるが、このラップを遅い仕掛けから追い上げたワイルドチャームも高評価できる内容であった。陣営のコメント通りに次走での上積みは大きそうで、更なるパフォーマンスアップも期待できそうだ。低評価からの激走で次走の人気もある程度の妙味があり、初勝利の期待も含めて馬券的に狙って面白い存在となる。

■７番人気・３着■　小回りコースのハンデ重賞としては稀に見る上り３Ｆ勝負で２番手追走から楽に抜け出したニシノティアモが４連勝で重賞初制覇を飾った。ラスト11.9-11.3-11.0秒と加速しながらのゴールながら、後方から追い上げて重賞常連馬達と互角以上のレース振りを披露した４歳牝馬を取り上げたい。４戦目に１勝馬の身でオークスに挑戦し大敗を喫したが、その後は確実な走りで階段を駆け上がりオープンに出世。前走のクイーンＳが久しぶりの重賞挑戦ながらアルジーヌから0.3秒差の５着に健闘。重賞でも通用するポテンシャルを披露して今回はハンデ戦ながら牡馬混合の重賞に挑んできた。重賞で好結果を残してきた実績馬がズラリと並ぶなかで、ハンデ54キロとやや見込まれた印象もあり７番人気の評価でレースを迎える。スタートは互角に出るも距離延長戦を意識してかやや抑えながらの序盤で、中団確保とはいかずに12番手で１コーナーに入り、超スローペースのなか強豪馬に包まれていたが怯む事なく十分な追走力を発揮していた。３コーナー過ぎから一気にペースが上がり後方待機組には厳しい流れとなったが、前の馬に続いて上昇し４コーナーでは外に出してスパートを開始する。展開有利に抜け出したニシノティアモやＧⅠに多く参戦しているエコロヴァルツには及ばなかったが、外を回りながら上り33.6秒の最速タイをマークし、ゴール前で２着馬に迫った脚色は高評価できるものである。過去の大敗は本格化前で距離が長かったオークスと重馬場時のみで、良馬場なら大きく崩れることなく好内容を続けている。何故か人気になり難いタイプなのか過去１番人気に推されたのは１度で、４番人気～６番人気で３勝している穴党には頼もしい存在である。重賞に入っても高パフォーマンスを十分に示しており、人気薄での好走を期待しつつ今後の動向に注目していきたい。

■２番人気・３着■　近10年で４頭のダービー馬を輩出している出世レースに、今年もハイレベルな素質馬が集結しクラシックに繋がるレースと注目を集めた。２番人気に推されながら３着に敗れてしまったが、厳しい戦いを強いられのものでポテンシャルの高さは評価できるものである。前走のデビュー戦は上り時計の出やすいコンディションではあったが、２番手追走から余裕十分にラスト10.8-10.9秒の流れを一気に突き抜けての完勝。バースデイ重賞制覇を狙う佐々木騎手効果も加味されてか２番人気の支持を集めていた。初コースやペースアップへの対応と課題もあったが、中間の追い切りでは上積みも十分で大きなフットワークからも東京コースで更なるパフォーマンスアップが期待された。前走はスタートから13秒台が３Ｆ続く超スローペースであったが、今回は相手強化の重賞で２Ｆ目に11.1秒が記録され、その後も12秒台中盤が続き前走とのペースギャップが大きいレースとなる。好スタートから飛ばす２頭を離れた３・４番手で追走しハイラップへの対応力を十分に見せ、折り合いも付いて前半は申し分ない走りを披露。しかし常時外に蓋をされて外に出せず、３コーナー過ぎのピッチが上がった所で前が狭くなり馬が横を向いてしまい馬順を下げる不利があった。レース後に鞍上も「広い所に出してあげたかった」と悔やんでいたが、自由に動けない状態のまま直線に向いてしまった。ラスト４Ｆが全て11秒台前半が続く上り勝負で、直線外から絶好のタイミングでスパートした２頭が突き抜けてしまったが、最内の狭い所から気を遣いながらの走りであったが追い上げ、上り32.9秒をマークしており負けて強しの印象であった。仕上り早でマイラー傾向の強いシスキン産駒であるが、折り合いに不安はなく母父ハーツクライならクラシックディスタンスでも十分に対応可能だ。賞金加算に失敗したのはローテーションを組む上で痛い材料となったが、今後の重賞やＧⅠ路線での活躍に期待したい１頭だ。