12頭立ての一戦ではあったが好調教馬が揃い、阪神内回りコースでの激戦が予想されたが、圧倒的なポテンシャルを見せ快勝した。追い切りでの反応の良さとムルザバエフ騎手鞍上でもあり２番人気の評価を得ていた。スタートで後手を踏み前進気勢も欠ける走りで促されながらの後方追走となる。向こう正面から漸く走る気を見せ、３コーナー過ぎから鞍上が気合を付けると外々を一気に追い上げたが、気性面の幼さが残り大きく外に膨れる仕草を見せ、一度控える形となりながら直線に入って追い出されると他馬を圧倒する末脚で一気に差し切った。４コーナーで先頭集団を形成していた３頭が２～４着に残るなか、次位を0.9秒上回る上りをマークし、突き抜けてしまった。ラスト３Ｆが11.7-11.5-11.3秒と加速するラップを差し切り、３馬身抜けたパフォーマンスは圧巻と言えるデビュー戦であった。まだ幼さを残してはいるが、追い切りでもウッドでラスト11.6-11.2秒をマークしており、ポテンシャル的には大物の雰囲気がある。相手強化の重賞でも大きく狙ってみたい馬である。

７番人気での７着と激走は叶わなかったが、重賞でも通用する走りは見せていた。半年の休養を挟みながら条件クラスを連勝し、３歳戦以来の重賞挑戦となった。重賞実績は大きく劣る存在であったが、３歳時には京都新聞杯４着、神戸新聞杯６着とそれなりに差のないレースはしていた。その後は以前の先行策から後方待機策にモデルチェンジし、上り上位の脚を連発して素質開花の兆しを見せていた。今回も後方待機策で挑んだがラスト５Ｆが全て11秒台の持続ラップとなり、先行馬と内で脚を溜めた馬の決着となってしまった。直線入口で前が壁になり外にも馬が張り付いてスムーズに仕掛けられなかったが、直線は大外から上位と差のない末脚を発揮し、ゴール前の脚色もまだ伸びていた印象での0.5秒差なら展開とコース取り一つで上位争い出来るイメージである。超高速上りへの対応力は未知数であるが、近走は全て小回りコースでの戦いとなっており、直線の長いコースでどれだけの脚を使えるか注目してみたい。まだ重賞では人気薄が確かで、嵌った際の激走に期待してみる手は十分にある。

６番人気の低評価ながら素晴らしい末脚で２着に好走した。デビュー当初は1600ｍ～1800ｍを使われていたが、その後は1400ｍ戦を主戦場とし勝ち星は２勝止まりであるが、毎回最後方から直線一気の脚で上位に迫る走りを続けていた。距離に拘った参戦で東京コースでのレースが15戦続いていたが、今回は初の中山1200ｍで東京コースと異なり前傾ラップになる傾向が強い舞台で、勝ち馬にクビ差まで迫る猛追を見せた。直線に向くまで全く動かないいつも通りの戦法で、直線大外に持ち出し一気のスパートで上り35.9秒をマークした。上り３Ｆで２位の馬に1.2秒差を付ける破壊力は素晴らしいものである。今回は連続騎乗した横山和騎手の進言があっての中山参戦となり、距離短縮＋前傾ラップでさらにパフォーマンスを上げた印象である。極端な脚質で展開に左右される面は残しているが、毎回確実に繰り出す強烈な末脚は見所十分である。馬券内まで届くかは確実と言えないが、この馬の直線での破壊力に期待して馬券を買ってみるのも競馬の一つの楽しみ方である。

レモンポップのスピード能力とレースセンスが光った一戦であったが、強烈な末脚で２着に激走したこの馬の今後に期待したい。デビュー３戦は芝で大敗続きであったが、その後ダート戦に矛先を変え９戦７勝の戦績で、地方交流重賞３勝の実績を持っていた。今回は前走で差を付けられたＧⅠ馬との参戦で、12番人気と評価を落としていたが、直線だけの競馬で猛追し唯一勝ち馬に迫った。時計のかかるタフな馬場でラスト３Ｆ36.6秒をマークし、並居る強豪相手に圧倒的な末脚を見せている。ダート戦で敗れたのは強豪相手の前走ＪＢＣクラシックと春の中京1800ｍ戦のみで、今回と同舞台で連勝が止まった経緯もあり、舞台適正には疑問が残っていた。しかし７勝を６場のコースで上げており、遠征競馬でも能力はしっかり出せるタイプであり、今回も過去に敗戦を喫した舞台で巻き返すあたりはポテンシャル高さ故で、テソーロ軍団にまた１頭ダートトップクラス馬が誕生したと思える走りであった。先行・差しと自在な脚質を身に付け、砂を被っても怯まない気性で今後も大きく崩れる事はなさそうだ。