人気割れの大混戦で単勝5.2倍の１番人気に推されたが、完璧なレース運びで重賞初制覇を飾った。以前から好内容のレースを続け、秋風Ｓ勝利後は次回狙えるで取り上げ、重賞戦線でも推奨本命馬にしていたが、今回ルメール騎手騎乗効果も絶大で漸く重賞制覇を果たした。スタートで後手を踏む事が多く、後方から直線一気のレース運びが定番となっていたが、近２走も重賞で少差の４着続きとポテンシャルは通用する下地を持っていた。今回は鞍上強化でスタートからリズムが良く、先行集団を内々で見ながら追走し、直線はスッと外に出して抜け出し楽勝と言える内容であった。２Ｆ目から11秒台が続くなかでも余裕の追走力を見せ、直線に向いて11.5-11.2秒と加速するラップを刻んで後続を完封している。賞金不足でなかなか目標レースに参戦できないでいたが、今回の勝利で賞金加算に成功し、いよいよ躍進に期待ができる１頭となった。舞台設定には拘らないタイプで来春のヴィクトリアМが最大目標になりそうだが、前哨戦を含めマイル路線で目の離せない存在になりそうだ。

裏開催のメイクデビュー戦で注目度は低く、11頭立てではあったが2000ｍの新馬戦は後の重賞活躍馬が登場するケースも珍しくない。血統的にも注目を集める馬は存在せず人気も割れ気味であったが、５番人気で２着したこの馬を取り上げたい。序盤はペースが緩んだにも関わらず中団後方で促しながらの追走で、前進気勢に欠ける走りであったが、３コーナー手前からピッチが上がるなか徐々に先団を射程圏に入れ、直線に向いて狭い馬群からスパートしたが進路を確保できずに大外に持ち出すロスがあった。しかし残り200ｍから一気に差を詰め勝ち馬を半馬身差まで猛追している。ラスト12.5-12.0-11.9秒を刻んだ勝ち馬に迫った事でラストは11秒台前半の脚を使っていると想定できる。前進気勢の不足と直線での進路取りに大きなロスがありながら、高パフォーマンスを見せポテンシャルの高さは確かである。次走はレースを経験した事で追走も楽になり、スムーズにさえ走れれば確勝級の評価で良いだろう。地味な血統で人気に推されない事にも妙味があり大きく狙ってみたい馬である。

４カ月ぶりの実戦ながらポテンシャルの高さと舞台適正を見せ、離された４番人気ながら２着に好走した。デビュー２戦は福島・札幌で連勝を飾っていたが、大きなフットワークは小回りコースよりも大箱コース向きと判断できていた。最内枠からのスタートで序盤折り合いを欠く馬が多くゴチャついた事で、後方まで下げる形となってしまう。この馬も前半は行きたがるシーンがあり、武豊騎手は後方待機策を選択したようだ。３コーナー過ぎから大外を追い上げる馬は複数いたが、鞍上はじっくり脚を溜め直線勝負に徹していた。最後方で直線に向き馬群の後ろで伸びあぐねていた雰囲気であったが、残り200ｍから大外に持ち出されると一気に伸びて唯一勝ち馬に迫っていた。ラスト11.2-12.3秒と坂を上がってから先団が失速していて恵まれた印象もあるが、鞍上の冷静な立ち回りが好結果に繋がった。今回の上位人気馬は折り合いに不安があるタイプが多く、クラシックには無縁となりそうだが、血統や走りからエコロヴァルツは距離延長にも対応できるタイプで、クラシック路線を歩みそうだ。まだ中距離路線を歩む馬達との力関係では劣っている可能性が高いが、上昇の余地は十分にあり注目していきたい馬である。