８頭立てと少頭数でのメイクデビュー戦となったが、阪神マイルコースにまずまずの好素材が集まる一戦となっていた。２着惜敗とデビュー勝ちは逃したが、高いポテンシャルは見せている。スタートから前進気勢があり自ら馬群に突っ込む気の強さも見せ、鞍上が引っ張るほど折り合いに苦労し、脚が溜まっていないように感じたが、直線では大外から11.4-11.0と加速ラップの地点で一気に差を詰め先頭に立った。ラストは内で脚を溜めていた勝ち馬に内から掬われ、ハナ差及ばなかったが３着以下には４馬身差を付けており、ロスやコース取りの差で敗れた印象で、ゴール前では差し返す脚も見せパフォーマンス的には断然の評価ができる走りであった。兄はダートで活躍するトウセツであるが、父がリオンディーズに替わり軽い走りをすることで、芝でのデビューとなったようである。血統は地味であるが、白老ファーム生産のクラブ馬(キャロット)で期待値は高そうだ。多頭数競馬での操縦性に不安は残るが、早い段階で未勝利を卒業できるだろう。

９番人気の低評価での７着と着順だけ見ると評価は出来ないが臨戦過程やレース振りから今後に期待できる馬として取り上げたい。圧倒的な走りを見せた１・２着馬は次走の秋華賞で好勝負可能な馬で、３着馬とは0.4秒差なら現状で世代牝馬第２グループと評価して良いだろう。道中は馬群で我慢が利いた走りを見せ、直線ではスムーズに運べなかったが、ラストまでしぶとい脚でしっかり走り切っている。デビュー３戦は僅かに勝利に届かなかったが、５カ月の休養を挟んだ復帰戦で高速上りを差し切り、続く福島コースでは最後方から息の長い末脚で連勝を飾っている。全く異なるコースや流れで勝利する高いポテンシャルを持っているのは確かだ。今回は福島遠征後に一旦美浦に戻り、再輸送で１カ月近い栗東滞在でのレースとなっており、少なからず負担の残る臨戦過程であったなかでの走りは評価したい。成長途上で瞬時のキレは欠けているが、今後の成長次第では重賞制覇も狙える馬になりそうだ。母系が欧州血統で兄姉はスピードタイプの父が付けられ活躍馬は出ていないが、現状の走り＋成長力に期待できるドゥラメンテ産駒との相性が良さそうで古馬になってからも注目したい馬である。

少頭数ながら好素材が揃った一戦で、７番人気の低評価ながら３着に好走した。勝ち馬トロヴァトーレがラスト11.4-11.2秒のラップを軽々と差し切り快勝したレースぶりは目を惹いたが、直線での不利が大きく敗れたこの馬を取り上げたい。ゴールドシップ産駒らしく前半は行き脚が付かない雰囲気で後方を進み、３コーナー過ぎから内を通って先団との差を詰め始めた。４コーナーでの勢いが良く進路さえ確保できれば突き抜けそうであったが、前を行く２着馬が外に膨れ内に進路を切り替えるロスがあった。再加速して内から迫ったが、２着馬が今度は内に刺さり通しで前に進めない状態が続いてしまった。同じ馬に２度進路を阻まれ、スムーズにスパートが出来なかったが、ゴール前では外に出して差を詰めていた。超高速上りでの不利は大きく、スムーズに走れていれば勝ち馬と好勝負に持ち込めただろう。高速上りに向かない血統ながら馬場に対応したセンスもあり、次走は確勝級の評価で大きく狙ってみたい。

世代最強馬と評されるソールオリエンスに、好素材のレーベンスティールが挑んだ注目の一戦で、両馬の強さが際立った戦いであったが、４着に好走したセブンマジシャンも確実に進化している印象を持った。デビューから２連勝を飾り、次回狙える馬として取り上げたハイパフォーマンスを披露していたが、不器用さと瞬時のキレ不足の影響でその後は勝ち星から遠ざかり、春のクラシック路線に乗り遅れていた。今回も結果的にキレのなさを露呈し差を付けられたが、内枠からのスタートで終始馬群に入り動くに動けない位置取りとなってしまった。４コーナーで強引に外に振り狭い所を割って出てきたが、直線では１・２着馬とのキレの差で負けている。外からソールオリエンスに被された事も影響し、菊花賞出走権は僅かに届かなかったが、ラスト３Ｆが11.7-11.7-11.0秒の加速ラップでのハイレベル戦なら仕方ないと言える。現状では高速馬場よりも持続力が活きる流れが良さそうで、古馬相手の戦いがマッチしそうである。舞台と流れさえある程度向けば３勝目は近そうだ。