来年のクラシックに向け２歳新馬戦がスタートしたが、東京コース１発目のメイクデビュー戦から評判馬が圧巻の走りを披露した。デビュー前の追い切りで素晴らしい走りを見せ単勝1.4倍に推されていたが、厩舎サイドの「この時期の２歳馬としては体力がずば抜けている」という言葉通りのインパクトを残し使用りした。好スタートから２番手を進んでいたが、スピードの違いで３コーナー過ぎには早くも先頭に立った。直線残り400ｍで気合を付けられると後続をグングン突き放し、ラスト200ｍは馬なりのまま９馬身差の圧勝であった。不良馬場で時計は遅いが、ラスト３Ｆはノーステッキで11.5-11.4-11.6秒と速く、余裕十分の走りっぷりは見事であった。母・ブルーメンブラットに父・モーリスとなると早熟とは言えず大きな成長力も持っていそうだ。早い時期に初陣を飾り今後は秋の重賞に備えそうだが、大物感ある走りはクラシック候補と言って良いだろう。

脚部不安で長期休養を強いられていた素質馬が、漸く復調の兆しを見せ４着に好走した。２歳時に京都２歳Ｓを制し、３歳時には青葉賞で重賞連勝を飾り、シャフリヤールが勝利した日本ダービーでも５番人気に推されていた馬である。以前から体質の弱さを抱え、続けて使えない面が残っていたが、３歳秋の神戸新聞杯後は脚部不安で１年以上の休養を余儀なくされた。復帰後はなかなか結果が出ず大きな着順を繰り返していたが、今回は勝ち馬ボッケリーニと0.2秒差の惜敗で、直線は良く差を詰めていたレース内容は復調を感じさせた。追い切りの内容もまだ本来の動きには至っていないが、厳しい流れの持続力戦で結果を残せたのは大きく、状態面の上積みに期待できる次走は狙ってみる価値がある。

２戦目とキャリアの浅いマイル戦で相手強化の初コースであったが、マイルのスペシャリストと遜色ないパフォーマンスで４着に好走した。セントライト記念を勝利し菊花賞では１番人気に推されたが大敗を喫し、４歳となった初レースでも中距離戦で結果が出ず、前走のマイラーズＣでマイル路線へ矛先を替えていた。休養明けで馬体を減らしていたが、勝ち馬シュネルマイスターとはクビ差の接戦を演じ、マイラーとしての資質を感じさせた。今回は初の東京コースで適正が掴めず、マイル戦でのキャリア不足も相まって８番人気の低評価であったが、直線で前をカットされる苦しいシーンがありながらの0.2秒差は評価でき、ゴール前の脚はソングラインやシュネルマイスターと互角の走りであった。もう少し瞬時の加速力が欲しい気もするが、キタサンブラック産駒で成長力がありトップマイラーになる可能性を秘めている。マイル経験を積んだ秋に大きな期待をしたい１頭だ。

２走前の１勝クラスから逃げて後続を突き放す強い内容で連勝を飾り、３勝クラスの格上げ戦でも１番人気に応える走りでオープン入りを果たした。過去走では先手を奪うか揉まれずに先行しての抜け出しが好走パターンであり、近２走も先手を奪い上り１・２位をマークする好パフォーマンスを見せていた。しかし今回は２番枠からスタートでやや後手を踏み、前に入られる厳しい展開となった。以前であれば大敗のパターンであったが、中団内々で脚を溜め直線は馬群を割って、展開有利であった先行馬を捕えて勝利した。ラスト11.1-11.5-11.8秒の上りを、馬群を捌きながら差し切った内容は評価できる。高いポテンシャルを持ちながら、脆さも同居していた馬が４歳春になって本格化の兆しを見せている。さらに相手強化となる次走であるが、大敗パターンを勝利に変えた今回の走りなら通用して不思議ではない。３連勝後で人気に推される可能性は高いが、先々を含めて注目していきたい馬である。