10番人気での７着と結果は残せなかったが、脚を余した印象が強く世代短距離路線では上位の存在と評価したい。外枠３頭が飛び出し短距離戦らしいハイラップを刻んだが、前が止まらない馬場コンディションで結果的に先行した３頭が上位を独占する結果となる。前走で後方から直線一気の差し切りを決めたアウェイキングは後方２・３番手を追走。京都内回りコースで前が止まらない馬場ではとても勝負にならない位置取りであった。４コーナーでは馬群に包まれスパートのタイミングを逸してしまい、残り300ｍから漸く大外に持ち出し追い出されたが先団と大きく差が付いており、追い込み勢では１番の伸び脚を見せたが７着が止まりとなってしまった。スパートが遅れながらも上がり２位の33.3秒をマークし、脚を余しながらも勝ち馬と0.6秒差なら力差はないと評価できる。過去1200ｍ戦では２度目の着外となったが共に右回りの内回りコースでのもので、左回りの直線の長いコースならば２戦２勝と持ち味をフルに発揮できている。1200ｍ戦は５戦し全て上り３位以内をマークしており、舞台や展開が向けばオープンでも十分勝負になる。特に左回りのコースで大きく狙ってみたい。

来週から２歳馬がデビューし競馬界はシーズン替わりの時期を迎える。そんな時期の３歳未勝利戦ではあるが、強烈なインパクトを残した馬を取り上げたい。デビューから３戦し13・８・12着と全く見所のないレースを続けており、今回は５カ月ぶりの実戦で８番人気に甘んじていたが、2000ｍから距離を一気に短縮して素晴らしい走りを見せ未勝利を卒業した。18頭立ての18番枠からスタートで後手を踏み、向こう正面ではほぼ最後方を追走する。1400ｍ戦にしては前半のペースが遅く先行馬が断然有利な流れとなったが、３コーナー過ぎから大外を進出し４コーナーも大外に進路を取り直線を向かえる。追い出しを我慢して残り400ｍからスパートを開始すると、ほぼ前団の順列が変わらない中、ただ１頭違う脚で豪快に差し切った。ラスト２Ｆは11.0-11.2秒と速いラップでも突き抜けた末脚は抜群であった。上り３Ｆも大外を回りながら他馬を１秒近く引き離す33.1秒をマークしている。追い切りでも終い11秒台前半を連発しており、初の芝良馬場での距離短縮と休養効果で一気の変わり身を見せた。クラスが上がっても十分狙える強烈な走りっぷりであった。

３歳未勝利戦からもう１頭簡単に取り上げたい。まだ緩さが残るも漸く使える段階に到達しデビュー戦を迎えた。２週続けてレガレイラの調教パートナーを務め、好時計をマークしていた事とルメール騎手鞍上で１番人気に推される。スタートは五分に出たものの前進姿勢が乏しく終始促されながらの追走で、直線に入っても前が壁になっていて伸び脚が見られなかったが、残り200ｍから漸くエンジンが点火されると、大外から一気の末脚で各馬をゴボウ抜きして初陣を飾った。２・３着馬は４コーナー先頭と２番手追走の馬であったが、ラスト200ｍで７馬身程あった差を豪脚で逆に２馬身半突き放している。レースラップのラスト１Ｆは11.7秒であるが、この馬は11秒フラット程で突き抜けたと考えられる。メンバーレベルは高くなかったが、ポテンシャルは大きく上回っていた印象だ。まだ成長途上ではあるが今後に大きな期待を抱かせる大器と評価したい。

高速馬場への対応力が疑問視され７番人気と評価を落としていたが、ゴールの前の伸び脚が鋭く３着に好走した。デビュー２連勝で重賞を制し、近３走は王道路線で崩れはしないが勝ち星からは遠ざかっていた。重賞好走時は早い仕掛けから持続力を活かした走りでトップクラスの戦績を残してきた。今回はスローペース必至の瞬発力戦が濃厚でキレ負けを懸念されていたが、上り33.4秒の末脚で超瞬発力戦でも上位の力を発揮した。追い切り診断の各馬の寸評でも述べたが、デビュー戦はラスト11.1-11.0秒で勝利しており、決して瞬発力で劣っているとは思えなかった。小回りコースで勝ちに行く競馬をしていた事でキレが削がれていた印象であった。幼さが残る現状でも過去の戦いぶりから世代トップクラスのポテンシャルを持っているのは確かである。本格化は先といった雰囲気が強く、将来性では春の２冠を制した両馬以上のモノがありそうだ。今後の成長力を見越して今秋や来年以降も注目し続けたい１頭である。