東京で新馬戦を勝利し本州デビュー馬として、初の函館２歳Ｓ制覇となったサトノカルナバルのスケールの大きな走りは圧巻であったが、４着に敗れたものの勝ち馬に劣らないパフォーマンスを見せたこの馬を取り上げたい。メイクデビュー戦は今回と同舞台で５頭立てと手薄なメンバーであったが、外目の先行策から４コーナー手前で一気に仕掛け直線の叩き合いを制した。今回は14頭立ての大外枠と不利で時計的にもやや劣る立場で５番人気の評価となっていた。前半３Ｆが前走より１秒近く速い流れに戸惑い後方追走となってしまったが、終始外々を回らされながらも前走同様に４コーナー手前から一気に仕掛け、上昇した加速力には見所があった。結果的に先行勢での決着となり４着に追い上げるのが精一杯であったが、内有利な馬場を外から強襲した差し脚は目立っていた。母キャンディバローズは２歳時にファンタジーＳを制して以来勝ち星がなかった早熟タイプであるが、この馬はまだ幼さが残っており早期限定の馬という印象はない。走りっぷりから1200ｍは短い印象で、今後距離が延びる重賞で好走に期待して良さそうだ。

少頭数７頭立てで不良馬場でのメイクデビュー戦で、時計的には地味なレースであったが、レースを見ていないと気づけない敗戦を喫したこの馬を取り上げたい。新種牡馬ウインブライト産駒でブランド力でも劣り、２週前に出走を予定していた新馬戦を右後肢跛行で当日出走取消してからの再出発という点を含めて、７頭立ての５番人気と低評価になっていた。雨が降りしきる不良馬場でのスタートで前半からペースは上がらなかったが、その中でも出遅れから１頭ポツンと最後方を追走する道中となった。向こう正面半ばからピッチが上がり出入りの激しい競馬となり、ペースアップへの対応も遅れたが最後方から徐々に追い上げ、４コーナーでは最内から手応え良く直線を向かえる。直線で前を行く２頭の間を割ってスパートし突き抜けそうな勢いであったが、残り200ｍで先頭を走る馬が斜行し(田口騎手は過怠金の処分)挟まれる形でブレーキをかけてしまった。結果的に７頭立ての６着であるが、勝ち馬とは0.4秒差で不利がなければと悔やまれる内容であった。メンバーレベルは疑問で馬場的にも評価が難しいが、６着という結果で次走も人気薄は確実である。敗因は直線での不利とハッキリしており、次走での巻き返しに期待したい。

９番人気での７着と目立たない結果ではあるが、重賞でも十分通用するポテンシャルは感じられたレースであった。昨夏までの条件クラスでは能力の違いを感じさせる走りっぷりで好走を続けていたが、オープン昇格後は掲示板まであと一歩の着順が続いていた。近走はスタートダッシュが付かずに後方からの競馬が目立ち、直線で猛追するも届かない内容であった。３歳時は現在重賞連続２着のキングズパレスを差し切った素質馬であるが、何故か後方一気のタイプに替わってしまいゲートを出てからの前進気勢を欠いているようだ。今回は初騎乗となる藤岡佑騎手で新たな一面を見せるチャンスでもあったが、相変わらずスタートダッシュが付かず最後方追走となってしまった。しかし３コーナー過ぎから徐々に追い上げ、直線入口では馬群に突っ込み勢いよく差を詰め始めた。残り200ｍで前が塞がってしまったが、ゴール前は狭い所から伸びており悲観する内容ではない。現状は高い能力を持て余している印象で、キッカケさえ掴めれば激変する可能性を秘めている。広いコースやゆったり走れる距離など舞台に変化があれば一発の魅力は十分にある。