中日新聞杯連覇は逃してしまったが、復調気配を感じさせる走りで差のない４着に好走した。２歳時にポープフルＳを制しクラシック路線で期待を集めたが、折り合い難が付きまとい結果を残せなかった。古馬になってからも昨年の中日新聞杯快勝以外は３着以内すらなく、２桁着順を記録するなど低迷が続いていた。今回はハンデ戦で59キロを背負う事もあり８番人気の低評価となっていたが、外々を回りながら十分に折り合い直線の叩き合いで遅れはとったが、接戦に持ち込み見せ場を作っている。以前のようなキレ味は影を潜めているが斤量も影響している雰囲気であり、しっかり折り合えさえすればポテンシャルを発揮できるのは確かで、今回馬群に入れなくてもスムーズに折り合いたのは収穫となった。現状２歳時のパフォーマンスが目立っているが、早熟と見限るのは早計である。好走には発馬や折り合いにまだ課題が残っているが、下級重賞なら十分上位争いに持ち込める馬である。上位人気に推されることがなくなった事で妙味があり、馬券内への激走を狙ってみて面白そうだ。

評判馬の除外により大混戦となったメイクデビューであったが、断然人気に推されながら３着に敗れてしまったものの、ポテンシャルの高さは十分に感じさせる走りは評価したい。中間の追い切りで好時計をマークしていたが、器用さに欠けるタイプで中山コースは大きな課題となっていた。３番枠から後手を踏み最後方に置かれた事で、岩田康騎手特有の直線に懸ける戦法を選択する。向こう正面に入ってからも最後方をポツンと追走し、先団からは15馬身程の差がある位置取りで我慢させていた。３コーナー過ぎから徐々に外に出しスパートを開始する。４コーナーでは大外に振られる形でまだ10馬身以上の差はあったが、残り200ｍでエンジンがかかると一気の伸びで0.3秒差まで追い上げた。３番手追走から抜け出した勝ち馬がラスト３Ｆ11.8-11.6-11.8秒でまとめたが、この馬はラスト11.0秒くらいの脚を使っていると予測できる際立った脚を見せていた。中山小回りコースの1800ｍ戦で大外を回りながら上り33.7秒はデビュー戦としては素晴らしいものである。不器用な立ち回りは改善の余地があるが、次走以降に期待の膨らむ走りであったのは間違いない。

ＧⅠ馬の妹や母が重賞勝ち馬など良血揃いのメンクデビュー戦で、ジオグリフの妹チルカーノが勝利したが、アニマルキングダム産駒と地味な血統ながら高パフォーマンスで５着に健闘した。やや真剣さに欠ける事があり、初戦からチークピーシーズを着用してのレースとなる。古川吉騎手が付きっ切りで追い切りに跨り、時計・動きは上々であったが血統からはダート色が強く９番人気の低評価となっていた。ゲートで待たされた影響もあり、スタートで大きく後れを取る厳しい序盤となる。前半３Ｆが37.7秒と緩んだ事で先団との差は大きくなかったが、３コーナー過ぎからピッチが上がるなか大外を進出し、直線ではジリジリ差を詰め0.5秒差まで追い上げている。スパートを開始した地点で先団が10.7秒と速くなってしまったなかで、大外から脚を使ってしまった不運もあった。それでも差のないレースに持ち込んだポテンシャルは５着以上の評価をして良い。スムーズなレースが出来れば上位争いに期待でき、人気面での妙味も加味して狙ってみたい１頭である。

勝ち馬に唯一迫る末脚でクビ差まで詰め寄る２着と惜しい結果となったが、臨戦過程の不利を乗り越えての高パフォーマンスは評価したい。ルメール騎手が騎乗できる事となり一躍上位人気の存在となったが、臨戦過程は過酷とも言えるものがあった。前走の赤松賞を制し中２週でのレースとなったが、１週前に栗東に移動して調整する滞在を試み、中間の追い切りは２本で３日に緩い時計は出しているが、実質最終追い切りのみでの実践となっていた。馬なり調整ながら馬体重も６キロ減らし、さすがに上積みは見込めないと思われたが、レースでは後方から上がり最速をマークし、ゴール前は内から勝ち馬に迫る脚を見せていた。道中は終始馬群に包まれ通しで、直線も進路を切り替えるロスがあったが、ラストまでしっかり伸びている。４戦して上り最速が３回、２位が１回とコース・展開を問わずしっかり脚を伸ばし大崩れのないタイプになりそうだ。瞬時のキレに課題は残るが操縦性が高く、距離は延びた方が良いだろう。大目標はオークスとなりそうだが、マイル戦での対応力もあり牝馬クラシック路線での活躍に期待できる。