８頭立てのメイクデビューで１番人気に推されながら３着に敗れたが、４コーナーでの不利が大きく残念な敗戦となった。最内枠からスタートを決め４番手を素晴らしい手応えで追走し、４コーナー手前から馬群の外に出しスパートするかに思えたが、前を走る馬が大きく膨れ直線入口まで外々に流され続けてしまった。その間に内目を先行していた２頭に大きく離され、残り200ｍから一気の脚で追い上げたが３着が精一杯であった。勝ち馬との差は５馬身あったが、それ以上の不利を受けておりロスがなければ圧勝まであった印象だ。兄姉馬のヴィルシーナ・シュヴァルグラン・ヴィブロスは古馬になってからのタイプであったが、父が２歳新馬戦で猛威を振るうスワーヴリチャードに替わり、兄姉よりは早くから走れそうだ。最終追い切りの坂路ではまだフラフラした脚取りで、完成途上の段階であるが、大きな不利がありながら初戦で見せたポテンシャルは確かで、未勝利戦は早い段階で卒業できそうだ。

４番人気での５着敗戦だが、直線は前が詰まり通しで全く追えずにゴールした結果である。道中は横山典騎手らしい最後方をポツンと追走する折り合い重視であったが、ペースが緩み残り1000ｍからピッチが上がり先行馬は11.4-11.5-11.2秒を刻んでいた。４コーナー手前から追い上げを開始し、直線は最内から素晴らしい手応えで先団に接近したが、追い出す前に前が壁になり待たされてしまう。残り200ｍで前の馬が多少外に寄れた隙間を狙って追い出されたが、逃げていた馬が前を塞いでおり鞍上は馬なりのままゴールしている。上位４頭とは鞍上のアクションが全く違い、脚を温存したままレースを終えてしまった。速い上がり勝負での不利は致命的でも勝ち馬とは0.2秒差で、スムーズに追えていれば差し切っていた可能性は高い。小柄の馬体ながら洋芝適正があり、58キロの斤量を克服した走りは評価したい。今回のパフォーマンスを見る限りこのクラスでも勝ち負けになるポテンシャルを持っている。スムーズに走れれば近いうちに勝機は訪れそうだ。

ドゥラメンテ産駒の３歳牝馬が、初ダート戦で大きなインパクトを残す圧勝を決めた。デビューから芝のマイル～1800ｍ戦を使われ、４戦目で初勝利を飾るが、続く桜花賞トライアル・チューリップ賞は惨敗に終わり、その後の３戦も精彩を欠く結果が続いていた。今回はパワー優先の走りからダートを試されたが、スタートから余裕十分の走りで後続をグングン引き離し、２着馬に２秒２の大差を着けて逃げ切った。スタート後は多少逃げ争いをしていたが、先手を奪い切り残り1000ｍから速いラップを刻み４コーナーでは12.3-11.9秒に再加速して後続を寄せ付けなかった。勝ち時計１分51秒８は優秀で、ラスト200ｍは馬なりでのゴールであったため、12.1-13.7秒と減速しているが、追っていれば１分50秒台の時計も計算できる激走であった。まだ砂を被った際に不安は残るが、ダート路線ならばオープンまで出世できる可能性を秘め、次走もクラスの壁なく連勝に期待できる。

11番人気の低評価ながら、好内容のレースを見せ５着に健闘した。３歳時はナムラクレアを破って重賞制覇を遂げたフィリーズレビューのインパクトが強く、マイルよりは1400ｍがベストという印象であった。しかし３走前の阪神牝馬Ｓで２着、ヴィクトリアマイルは出遅れが響き13着に終わったが、0.8秒差と少差で上り３位とマイルでもポテンシャルを発揮しつつある近走であった。今回は同世代の３着馬ルージュスティリアには遅れを取ったが、ＧⅡ勝ちの実績からハンデが２キロ重く0.2秒差なら同等の評価をして良さそうだ。直線で進路が空かないシーンがあり、終始前に馬がいる中での走りであったが、ラストまでしっかり脚を伸ばしていた。今回は最終追い切りがセーブ気味であったにもかわらず－８キロの馬体で、本調子には至ってなかった雰囲気にあり、次走以降での上積みにも期待できる。スタートにまだ不安は残るが、スムーズに走れればマイル重賞で波乱を演出する機会がありそうで、好走条件にマッチすれば人気的な妙味もあり狙ってみて面白い存在だ。