12頭立てで評判馬の出走がなくメンバーレベル的には微妙であるが、５番人気の低評価を覆す高パフォーマンスで快勝した。好スタートから余裕十分に２番手を追走し、ペースが緩んだことから展開に恵まれた面はあったが、４コーナー手前で軽く促されると持ったままで逃げ馬を交わし直線入口で先頭に立つ。後続との手応えの差は明らかで必至に追いすがる後続馬を、残り200ｍのムチ一発で再加速し突き放した。走破時計は２分３秒７と遅いが、残り1000ｍからゴールまで全て加速ラップでフィニッシュしている点は評価できる内容で、ラストも11.9-11.8-11.6秒とまだ余力があり、時計の短縮は容易と言える走りであった。追い切りでもラスト１Ｆで11秒台を連発しており、一概の逃げ馬とは言い難い末脚の持ち主と判断できる。走破時計不足で重賞では人気薄となりそうだが、ポテンシャルは高く相手次第では十分に上位争いが出来そうだ。

愛知杯２着や中日新聞杯３着と芝の重賞でも好勝負可能な実績馬が、左回りを求めてデビュー20戦目で初ダートに挑み快勝した。力量的には断トツの馬であるが、下級条件戦とは違いオープン競争を初ダート挑戦で勝利するのは至難の業である。８番人気の評価は妥当であったが、好スタートから外目３番手を確保し、４コーナー手前から仕掛けられると先行馬をアッサリ潰し、後続の追い上げを全く寄せ付けない圧勝で、先行して持続的に使う脚はダートでも活かされていた。今回は54キロのハンデと外枠が大きなプラス材料で、全く砂を被らずスムーズに走れたことが勝因と言える。まだ砂を被った際に不安は残るが、今回のような走りが出来れば重賞でも勝負になりそうだ。またダートレースを使った事で走りのバランスが良くなり、次走で芝に戻して激走するタイプも多い。ダート連戦よりも芝に戻した重賞で狙ってみるのが面白そうだ。次走もダートに参戦なら外枠条件で好走可能と評価したい。

クラシックに繋がるレースとは言えず、将来性の面でも勝ち馬に劣りそうだが、初戦のレース内容と合わせて今後の２歳重賞で注目できる走りを見せている。デビュー戦はスローペースの瞬発力戦となり、内々で脚を溜めて直線残り200ｍで外に持ち出されると、弾けるように加速し他馬とは違う脚で一気に差し切った。今回もペースは上がらず瞬発力戦となったが、外枠の影響で前半やや折り合いを欠き、３コーナーで内に入れ何とか脚を溜めにかかったが、直線はスムーズに外に出せずに外から勝ち馬に前に出られてしまう。残り300ｍ付近から漸く前が空いて脚を伸ばしたが、脚が十分に溜まっておらず勝ち馬との差は縮まらなかった。今回は中２週での再新潟遠征で、中間の追い切りも１本のみと万全の仕上げとは言えない状況でも見所十分の走りを見せている。折り合い面や確実な末脚を考慮するとペースが流れるレースでさらにパフォーマンスを上げそうである。ローカル開催が終わり同世代の素質馬が大挙登場するが、血統背景やブランドで見劣っていても互角の勝負に期待できる馬である。

レース前の大雨の影響で３着止まりであったが、ＧⅠでも通用する能力の片鱗は見られた一戦であった。昨夏から短距離戦へ矛先を変え、高パフォーマンスを連発しオープン特別と京阪杯(ＧⅢ)を制した。今年に入り苦戦が続いていたが、大外枠や最内枠でスムーズに走れないレースが続いていたのが大きな敗因である。今回は枠順こそ不利にはならなかったが、パワー勝負の馬場コンディションは不運であった。また４コーナーでナムラクレアに外から内に閉じ込められ、直線は馬場の悪い内に進路を取らざるを得なかったのも痛かった。やや重や洋芝も熟すタイプではあるが、本質的には京阪杯を圧倒的な末脚で制した軽い馬場がベストである。次走は初コースとなる中山でのＧⅠだが、直線に急坂がある阪神コースでの走りから舞台替わりは好材料になりそうだ。開催後半で馬場悪化の恐れもあるが、夏の育成で生えそろった野芝なら極端なパワー勝負にはならないはずだ。大外枠であったシルクロードＳの内容から良馬場ならナムラクレアとの勝負付けは済んでおらず、叩かれた上積みもあり互角以上に戦えそうだ。